急性前骨髄球性白血病の治療による副作用【抗がん剤治療の患者さんの参考に】

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kazuki-ONEMasterです。

 ご自身やご家族が、今後、抗がん剤治療を必要とされていて、

 「抗がん剤を使うとどんな副作用があるのか?」

 「本当に髪の毛が抜けるのか?」

など、心配されているかと思います。

 私は、急性前骨髄急性白血病の治療で化学療法(抗がん剤治療)を行いましたが、その際の副作用を紹介します。

 抗がん剤によって副作用は様々です。投与する抗がん剤や治療方法が同じだとしても、必ず全員が同じ副作用になるとも限りません。ただ、同じような傾向がありますので参考にしていただける内容です。大部屋では、白血病の患者さんの他に、悪性リンパ腫の患者さんもいましたが、抗がん剤の副作用について、同じような傾向が見られることが多かったです。

 医師、看護師からも説明はありますが、相部屋の患者さんから聞いてわかったことや、説明がなかった症状(説明だけで把握できなかった症状)なども出てきます。

 否定的な言い方ですが、医師や看護師で抗がん剤を使った人はほとんどいません(もちろん、いないわけではありませんが)。投与されているのはいつでも患者さんなので、実体験として患者さんから聞いたほうがわかりやすい場合もあります。私も実際そうでした。

 それゆえ、これから抗がん剤治療をする患者さん、またはご家族に向けて、あくまで参考程度にですが、記事を作成しました。

 内容としては、

・吐き気

・味覚障害

・口内炎

・排泄

・痔

・熱

・爪

・肌

・脱毛

を、解説していきます。

 今回、紹介する副作用を頭の片すみに入れておいてもらえれば、抗がん剤投与後の体調不良の際に、原因・対策など考える目安にできると思います。

 もちろん、体調不良の際は自己判断だけではなく、速やかに医師、看護師に相談してください。

自己紹介です。

 筆者は、2018年10月頃(当時35歳)、急性前骨髄急性白血病を発症し入院しました。期間としては、通常の治療(入院)を半年間行って無事退院(2018/10/17~2019/04/17)。その約半年後に再発を確認し、自家移植、放射線治療まで1年ほど入院生活を送り、現在は治療を終え退院しています。(2019/12/03~2020/12/30)

急性前骨髄球性白血病の治療による副作用【抗がん剤治療の患者さんの参考に】

窓

 この記事は、私が以前noteに投稿した記事が原案です。

吐き気

 吐き気については、広く認知されているかと思います。ドラマや闘病の特集番組などでも治療中の患者さんが嘔吐するシーンを見かけたりします。

 完全には解明されていないそうですが、抗がん剤が消化管の粘膜や脳の中の神経を刺激して起こると考えられているそうです。また、味覚に異常が出た場合も吐き気に繋がります。味覚については次項で解説します。

 実際にどんな感じの吐き気だったかというと、抗がん剤を投与して数十分ほどで胃に膨満感を感じ、こみあげてくるような吐き気がしました。抗がん剤の投与が始まると、投与終了の数日後まで吐き気は続きます。吐く患者さんもいますし、食事を食べれなくなる患者さんもいます。

 とはいえ、昨今では吐き気止めが進歩していて、吐き続けるほど酷い状態の患者さんはほとんどいません。私も吐いたことはありませんし、病院食を残したこともありません(メニュー変更は必須でしたが)。

 対策は、吐き気止めを増やしてもらう事と、病院食の内容変更などで、まずは食べられるようにすることです。

味覚障害

 抗がん剤が味覚を感じる味蕾(みらい)に障害を及ぼしたり、抗がん剤の影響で亜鉛が不足することなどが原因と考えられます。

 早くて抗がん剤を投与して2~3日、遅ければ数週間後に気がつきます。

 ネットで調べると、渋みを感じるというのを見かけますが、私の場合は、口の中が常に甘ったるい状態でした。

 味覚障害で特に影響するのは、食事(病院食)になります。できる限り食べやすい内容に変更して、きちんと食事することを勧めます。食べられない場合、点滴で栄養補給となります。

 しかし、抗がん剤を投与するにあたって、ただでさえ大量の点滴を投与しているのに、さらに点滴を増やすと、むくみ(特に足)の原因にもなります。

 私の場合ではありますが、抗がん剤投与開始から2~3日で体重が5kg増えました。食事は普通に食べていましたが、それでも点滴だけで体重が一気に増えます。足はむくんでパンパンになり、何もしていなくても痛いぐらいでした。普通に食事をしていてもこのぐらいなので、食事できず点滴となると体重増加やむくみはさらに増えることが考えられます。

 余談ですが、抗がん剤を投与している期間中に体重が増えすぎた場合、腎臓の機能を守るために(抗がん剤を便として排出できるように)、利尿剤を使うことになります。入院時の体重から体重制限が設けられ、それが基準になります。具合が悪い時や、夜中に頻回にトイレに行くのは大変です。

 味覚障害の対策としては、

・食べられる内容の病院食にする

・亜鉛を多く含んだ飲料などを摂取する

ということになります。

 ちなみに私の朝食は飲料のみです。

病院食・飲み物
朝食

 特に上の画像の右側、ブイ・クレス ビオは亜鉛を多く含んでいます。下の画像参照。

飲み物・栄養表示
ブイ・クレス ビオ

 食欲が落ちたときは、病院食をこういった飲料に変更することもおすすめします。ただ、病院によって扱っているものが異なりますので、看護師さん、栄養士さんに確認してください。

口内炎

 抗がん剤は口の中の粘膜にも影響します。口内炎ができやすくなります。普段、あまり口内炎にならない人でも、2か所3か所と出てきます。

 対策としては、歯磨きを丁寧に(力を入れすぎずに)やることと、うがいをしっかりやることです。ちなみに、血液内科の病棟ですと、1日のうがいの回数の目安は8回です。

 痛みが酷い場合、痛み止め入りのうがい薬を使います。

排泄

 小便についてですが、投与された抗がん剤は尿として排出されていきます。腎臓、膀胱を守るために点滴、経口での水分摂取を増やさなければなりません。当然、小便の回数は増える傾向にあります。

 また、管理の仕方としては、数時間毎(私の病院は6時間毎)に尿量が基準値まで出ているか確認し、足りなければ注射で調節することになります。(利尿剤の他にph値の測定もあります)

 大便については、便秘、下痢になります。

 私やまわりの患者さんは、抗がん剤投与から3~4日目まで徐々に便の出が悪くなり便秘気味になります。そこから1~2日、今度は突然下痢になります。あとは数週間下痢が続いて、少しづつ調子が戻っていきます。

 まず、抗がん剤で腸など内臓の動きが悪くなり、それで便秘になります。その後の下痢は、抗がん剤による粘膜へのダメージの影響で、腸の粘膜も他の粘膜と同様、ダメージを受けることで下痢になります。

 対策は、便秘に関しては便を柔らかくする薬や下剤を使って出しやすくするしかありません。下痢については抑えようがないので、出すしかありません。どちらも痔に気をつけなければならないので、次項で説明します。

 粘膜障害の影響と、下痢で便の回数が増えることなどが要因と考えられます。

 注意しなければならないのは、出血した場合、傷口から細菌感染する可能性があることです。出血した場合は、速やかに看護師、医師に相談する必要があります。

 細菌感染が危険というのは、抗がん剤を投与することにより免疫(白血球など)が低下しているため、感染しやすい、重症化しやすいといったことが考えられます。

 対策としては、清潔に保つこと。大便の際はウォッシュレットを使うことです。

 抗がん剤投与後、白血球が下がった頃から、突然、高熱がでたりします。

 原因を特定できない場合もありますが、単純に風邪をひいていたり、血液中の炎症反応が高くなっている場合などもあります。症状も様々で、風邪の諸症状が出る患者さんもいれば、ただ熱だけが上がり、元気な場合もあります。私も38.0℃以上でも元気だった時もあれば、熱相応に具合の悪い時もありました。

 対策というほどのことは思い浮かびませんが、バイタルチェックは1日数回行われますし、具合が悪いと思ったら、熱を測るだけです。

 熱がある場合は、看護師さんに言えば解熱剤などの対応はすぐにやってくれますし、湯たんぽ、アイスノンなども準備してくれますので、我慢せず速やかに相談しましょう。

 抗がん剤は爪にも影響します。二枚爪よりは二重爪が心配かと思います。私も最初の半年の治療の時に二重爪になりました。解説すると、二重爪とは爪の根本のほうが急に薄くなって段差ができてしまう状態です。

 初めのうちは何ともないですが、段差の部分はきれいに丸くなっているわけではないので、爪が伸びていく過程で段差の部分が先端までくると、いろいろなところに引っかかります。洋服やタオルに引っかかるのが怖かったです。

 何が問題かというと、引っかかって爪がめくれてしまい痛いのも嫌ですが、やはり傷口を作ってしまうことです。細菌感染の原因になりますので、注意が必要になります。

 対策としては、気をつけて生活するしかありませんが、テーピングをする、ゴム手袋(看護師さんが使っているようなもの)をつけて干渉しないようにすれば心配はありません。ただ、テーピングだと手をしっかり洗えなくなってしまうので、白血球などデータが下がっているときは何もつけないか、ゴム手袋を利用したほうが衛生的です。

 皮膚にもダメージがあります。かなりの乾燥肌(皮膚障害)になります。

 私は先日(2020年07月)に、再発後の治療として大量シタラビン療法を行いましたが、7月でも秋冬に何も肌ケアをしていないような状態になりました。

 対策としては、オイルやクリームを塗ることと、全身でしたらボディソープやボディタオルを刺激の少ないものに変えることも大事です。私が入院している病院では、看護師さんに相談すれば、オリブ油、ヒルドイドクリーム、ヒルドイドローションなどを処方してもらえます。

 また、病院の環境によっては湿度が極端に低い場合もあり、加湿器も有効です

加湿器について、以前noteの記事で紹介しているので、よろしければご覧ください。

https://note.com/onemaster/n/n09f92487915b

脱毛

 最も気になるところではないかと思います。脱毛については、医師からの説明で脱毛があると言われているのであれば、避けては通れません。

 抜ける量には個人差、抗がん剤での差はありますが、髪の毛の脱毛については、外を歩けるぐらい残ることはほとんどありません

 

参考までに先日、私が行った抗がん剤治療での経過で解説します。下の画像は抗がん剤投与開始から4日目です。まだ抜けていません。

髪型
抗がん剤投与4日目

・抗がん剤の投与開始から8日くらいで髪を引っ張ると不自然に抜けるようになってきます。

・抗がん剤の投与開始から11日目の夜、シャワー時に大量に髪が抜けるようになる。こうなると、流しても流してもキリがなく抜け続けます。

・そこから3日ほどで抜け終わります。下の画像の状態。

脱毛時
抗がん剤脱毛

 対策となると、コロコロを用意しておくとか、外見的にはニットなどを用意しておくことになります。

 カツラについては、私が入院している病院では、スヴェンソンのカタログがあり、病院内に店舗もあります。金額が高額なので、とりあえずは帽子などを用意しておくのが良いです。

 髪の毛の他には、特には顔まわりの毛が抜けやすい傾向があります。

 眉毛、まつげ、ひげ、鼻毛をはじめ、他には陰毛も抜ける患者さんが多いようです。それらは、数か月~一年ほどで生えそろいます。

 髪の毛の生え方については、私の脱毛前を見ていただけるとわかりますが、最初の治療で2019年3月中旬に脱毛してから、2020年7月までの1年ちょっとで、ショートカットぐらいの長さまで十分に生えそろいました。この状態で数回カットしていますので、伸ばしていればもう少し長かったです。

 また髪質が変わり、クセ毛が強くなるというのをよく聞きます。これについては、脱毛時に引っ張ってしまい、頭皮に干渉することで毛根が曲がってしまうという説があり、それが有力かなと思います。

 生え始めは赤ちゃんの髪の毛のように細い毛ばかりなので、クリクリになります。それから数回カットしていくうちに落ち着いてきますが、それでも、脱毛前よりクセが強くなる人や、ストレートの人がクセ毛になる場合もあります。(相部屋の再々発の患者さんで、ストレートからクセ毛になった方がいました) 

 脱毛については必ず医師に確認してください。移植の場合は、永久脱毛の可能性も少なからずあります

 そして、抗がん剤によっては脱毛しないものもあります。使う条件は限られていると思いますが、私が再発した直後はトリセノックスという抗がん剤(ヒ素)で治療しました。脱毛はほとんどありませんでしたが、心臓に大きな負担がかかるもので、心電図検査の頻度はかなり多かったです。また、投与中、投与後数か月経つ今でも、脈の乱れや動悸があります。

 ちなみに、トリセノックス療法中は脱毛しませんでしたが、その後、自家移植に向けてシタラビン(キロサイド)療法を行い、結局、記事で紹介したように髪は抜けています。

脱毛についての詳しい経過や脱毛時に便利なアイテム(使い捨てヘアキャップなど)をnoteの記事で投稿していますので、よろしければご覧ください。

https://note.com/onemaster/n/nda2ef4501f58

さいごに

 白血病などは病気になった時点で死の確率も発生するわけですが、抗がん剤治療により生きながらえることができます。治療の副作用は、生き続けるための代償とも言えます。

 治療を開始すると副作用により体調を崩しますが、今回紹介した体調不良は時間はかかるにせよ少しずつ良くなります。食事(栄養)をしっかりとる、運動をするなどできるところから取り組めば回復を早めることにも繋がります。

 繰り返しになりますが、できるところから取り組み、入院・退院後の生活を少しでも楽にしてください。

入院・治療の原因と目的の考え方です。

白血病で入院の場合にどんな手技があるのか紹介しています。

病気などで悩んでいる方へのアドバイスです。

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