病院食がまずいの『なぜ』と対策、痩せる理由【健康的に痩せているとは限りません】

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kazuki-ONEMasterです。

 病院食とは、栄養のバランスがとれていて、健康的な食事であります。

 しかし、入院患者さんの多くは病院食に対して『まずい』など、不満を感じています。

 また、病院食は痩せるという認識をお持ちの方も多いです。

「なぜ病院食はまずい?」

「病院食で本当にやせるのか?」

 という疑問に、『現』入院患者が答えます。

 記事の内容としては、

・病院食がまずいのはなぜ?

・おいしく食べられる対策

・病院食で痩せる理由

 この3つを、相部屋の患者さんの話や、看護師さんが見てきた患者さんの話、私自身の経験から解説します。

 まずいとは言っても、病院食の食材そのものは普通のものです。味が薄いなどは、もちろん理由としてありますが、もう少し深掘りして解説します。

 痩せる理由についても、量が少ない、カロリーの摂取量が適正というだけでもないので、そこも解説します。

自己紹介です。

 筆者は、2018年10月頃(当時35歳)、急性前骨髄急性白血病を発症し入院しました。期間としては、通常の治療(入院)を半年間行って無事退院(2018/10/17~2019/04/17)。その約半年後に再発を確認し、自家移植、放射線治療まで1年ほど入院生活を送り、現在は治療を終え退院しています。(2019/12/03~2020/12/30)

定食イメージ

病院食がまずいの『なぜ』と対策、痩せる理由【健康的に痩せているとは限りません】

 この記事は、私が以前noteで投稿したものが原案です。

病院食がまずいのはなぜ?

 考えられるのは、患者さん自身の原因、病院食そのものの原因、病院食を食べる環境の原因の3つがあります。

 さらに深掘りして、

 患者さん自身の原因

・嫌いな食材、嫌いな味、嫌いなメニュー

・抗がん剤などの副作用による味覚障害

 病院食そのものの原因

・主食、主菜、副菜、汁物、果物などを1日3食全てバランスをとろうとすること

・調理方法

 病院食を食べる環境の原因

・病室という環境

・食べる時間、入院生活のスケジュール

 3つの原因から各2項目を、病院食がまずいと感じる原因として解説していきます。

患者さん自身の原因

・嫌いな食材、嫌いな味、嫌いなメニュー

 病院食では、基本的に何でも出ますので、入院期間が長いほど嫌いな食材、味、メニューにもあたります。患者さんご自身の好き嫌いの部分は変えられないので、嫌いな食べ物も食べることになってしまします。しかも味が薄いなどあれば余計にまずいと思ってしまいます。

 余談ですが、嫌いなものについてはどうにもできませんが、普段、食べられないと思っていても、病院食で提供されたときに食べられるようになったという場合もあったりします。

・抗がん剤などの副作用による味覚障害

 抗がん剤治療されている患者さんは、食欲不振、吐き気に加えて味覚障害になると、病院食を食べるのが本当に辛くなります。

 相部屋の患者さんたちも、最初は普通のメニューを食べていても、完食できなくなり、変更を依頼するというのがほとんどです。私も実体験としてありました。普段感じない苦みや風味を感じ、だんだんと多くの食べ物の味の感じ方が変わってきました。

 味覚障害は、数週間から数か月で改善される場合が多いですが、それまでは食事内容の変更や味を濃くするなどして対応するしかありません。どのくらい調味料を使ったり味を濃くできるのかは看護師さんや栄養士さんに相談してください。メニュー変更については、後述の『おいしく食べられる対策』のところで解説します。

 ちなみに、亜鉛を多く摂取することが味覚の改善によいとされています。

病院食そのものの原因

・主食、主菜、副菜、汁物、果物などを1日3食全てバランスをとろうとすること

 病院食はバランスの良い食事ではありますが、例えば、1日の摂取量から決められた塩分量を1日3食の様々な料理に振り分ければ、どれもこれも「うす味」になるというのは理解いただけると思います。

 また、1日に必要な栄養の摂取量以上に提供されませんので、おかずが少ない、肉が少ない、米が少ないという事にもなります。そうなると、嫌いな食べ物が強調されてしまい、食べたくない、食べられないとなり、結果としてまずいという認識に繋がります。

・調理方法

 食材そのものは好きだったり、同じ料理でも家で出されるものなら食べられるという場合も多いかと思います。やはり、下処理や味付け、食材の使い方は違います。

 例えば、酢豚にパイナップルを入れるか入れないかは好みが分かれます。他にも、塩か醤油かソースか、など、自分の食べ方に合わないのはおいしいとは思わないものです。これも、まずいという認識に繋がる要因です。

 また、特に無菌食や低菌食の患者さんは、どの食材も加熱されていて消化吸収の良い柔らかいものばかりの食事なので、歯ごたえ、食感がイマイチ、これもまずいという認識に繋がってしまいます。

病院食を食べる環境の原因

・病室という環境

 視覚、嗅覚、聴覚もおいしい食事には重要です。

 視覚の要因としては、病院食の器、盛り付け、病室という空間(床頭台やベッド)、病室内の照明が暗い、大部屋の患者さんで通路側の人は外(窓)も見えない、などが挙げられます。

 視覚がおいしさを占める割合は80~90%と言われ、味覚は1%とも言われています。それを考えると、病院食の場合、病院という空間が病院食をまずくしているとも考えられます。

 嗅覚については、病室の独特のにおいだったり、そもそも病院食のにおいが食欲をそそるほど強くないので、こちらもまずいに繋がる要因となります。また、日常生活では調理中のにおいを感じることで食欲をそそられることもあるかと思いますが、病院ではそれもありません。

 聴覚についても嗅覚と同じ条件と考えます。病院ならではの音(例えば輸液ポンプのアラーム音や、モニターの音など)もマイナス要因です。ちょっとしたことですが、ストレスに感じますし、病院にいるという感覚が食欲に影響してしまいます。

 また、自宅や飲食店で聞く、焼く音、煮る音なども食欲をそそる効果がありますが、病院ではそれを聞くことができないというのも、また一つの要因となります。

・食べる時間、入院生活のスケジュール

 食べる時間については、お腹が減っていても減っていなくても、決まった時間に配膳されます。食欲がない時に無理に食べるとおいしさを感じられず、結局まずいに繋がります。

 入院生活のスケジュールについては、手技や検査、薬(抗がん剤など)の投与時間によっても影響があります。

 薬(抗がん剤など)の投与時間、または期間中ということになりますが、食欲不振、吐き気の中、病院食を食べるとなれば当然食べるのは辛くなります。辛いイメージを持ってしまうこともマイナスイメージに繋がります。

 また、内容にもよりますが手技や検査のあとは、あまり食べる気にならないことも多いです。そもそも体が痛くて起き上がるのも辛い場合もあります。

おいしく食べられる対策

定食

 原因を理解していただけたところで、ここからは、おいしく食べるための対策を紹介していきます。

 とはいえ、入院・治療中にできる対策は限られてきます。例えば、調理方法だったり病室という環境を変えるのは難しいことです。

 なので、患者さんができる対策をいくつかあげてみます。

・病院食の内容を変更する

・病院食以外食べない

・病院食に濃い味付けのものをプラスすることで全て食べきれるようにする

 まわりの患者さんや私自身がやっている対策です。解説していきます。

病院食の内容を変更する

 患者さんの病状によりますが、可能な限りメニューの内容を変更するのが最も効果的です。

 詳細については、私が入院している病院での対応を例に↓の記事(病院食はまずい!?「食べたくない」、「食べられない」となる前に内容を変更しましょう。)で紹介しています。

 病院ごとに対応できる範囲は違いますが、参考にしてください。病院の対応によっては、自分の好きな食べ物だけを並べることも可能です。

病院食以外食べない

 病院食の味付け(薄味)に慣れるために、できる限り他の食品を口にしないで過ごすという考え方です。

 実際には、味に慣れることよりも大事な要因もあります。病院食以外を口にしないという事は入院患者として最も理想的であり、結果的に自分に良い影響があります。

 具体的には、

・病院食を完食することで栄養バランスがとれる

・採血のデータに異常が出ない(異常時にはすぐに気が付く)

・味覚が良くなる

・無駄なお金がかからない

・間食を無くし、空腹の状態で食事をする

 の5つです。解説していきます。

病院食を完食することで栄養バランスがとれる

 病院食1日3食で1日に必要な栄養の摂取量は計算されているので、完食することで1日の必要量の栄養は摂取できます。

採血のデータに異常が出ない(異常時にはすぐに気が付く)

 食べ物によって(もちろん飲み物も)採血のデータに影響が出る場合があり、薬(抗がん剤など)が原因なのか、体に問題が発生しているのかがわからなくなります。

 例えば、血液内科の場合、真菌(カビ)や炎症反応などに影響する可能性があり、治療が遅れる原因にもなります。

 病院食だけで生活していれば、異常なデータが出ることはほとんどありません。つまり、異常が出たときは原因を考えやすく、体を守ることができますし、治療がスムーズに進むことに繋がります。

味覚が良くなる

 単純に味の薄いものをある程度の期間食べていることで、繊細に味を感じるようになってきます。これについては、食事を病院食で済ませている患者さんの多くが言っています。

無駄なお金がかからない

 毎食何かを買って用意するとなると結構な出費になります。ちなみに、病院食は医療費とは別で請求されますので、高額医療費の申請をしていても、上限額にプラスして食事代が請求されます。

 お金を無駄にしない、また、食べ物を無駄にしないという点において、病院食のみで済ませてしまうことが最も効率が良いです。

間食を無くし、空腹の状態で食事をする

 少しでもお腹が減った状態なら、病院食でもすすみやすいです。間食するとして、どんなものを食べるかにもよりますが、ここで味付けが濃いものを食べてしまうと病院食がすすまない原因にもなります。

 また、栄養価が少ないものでお腹を満たしてしまうと、普通の食事が十分にとれなくなり、体調不良、点滴の追加などに繋がりますので、無駄が増えます。

 もちろん、間食をしないことで塩分や糖分をとりすぎることも無くなりますので、採血のデータに干渉しないですし、間食を買うためのお金もかからないということになります。

病院食に濃い味付けのものをプラスすることで全て食べきれるようにする

 病院食を食べないで代わりのものを食べるのではなく、おかずや調味料などを増やす(追加する)ことになります。

 あくまで増やすので、医師や栄養士に確認が必要となりますが、「濃い味のものが一品あれば他のも食べられる」とか、「調味料でごまかせる」という患者さんはやってみるべきです。

 追加するものの例としては、味のり・ふりかけ(病院で付けれる場合が多いです)、お茶漬け、カップラーメン、調味料全般などで、追加するおかずの理想は個別包装で1度に食べきれるものになります。缶詰は保存も楽ですしおすすめです。(缶の処理が面倒かもしれませんが…)

病院食で痩せる理由

 冒頭でも触れていますが、カロリーなどの摂取量が適正であるという要因はもちろんあります。野菜などもバランスよく取り込み、健康的です。入院中ではなく、普段の生活が病院食なら健康的に痩せられる可能性が高いです。

 ただ、入院患者さんにおいては、痩せる要因が他にあります。

 それは、ベッド上からほとんど動かないことでの筋力低下です。痩せるというか筋肉を中心に体重が減ってしまうということです。

 入院中の活動範囲はほとんどベッドだけです。動くといったら少し歩いてトイレ、洗面所、シャワー室ぐらいで、運動量が圧倒的に足りないです。(入院という状況を考えれば当たり前ですが…)

 バランスが適正な病院食だから痩せるという可能性は大いにありますが、実際には、筋肉がなくなり体重が減っていると思ったほうがいいです。

 この場合の『痩せる』の外見的な特徴としては、腕や脚はただ細くなるだけですし、全体的にやつれた印象に映ります。入院して病院食で健康的に痩せるとなると、患者さん自身が運動・筋トレをする努力や習慣がなければ難しいことです。

 また、全体的に細くなったのにお腹は出てきたという患者さんもよく聞きます。体を動かさないのに間食まで食べたりするとなおさらです。

 余談ですが、血液内科の患者さん(1か月以上入院)でよく聞くのは、一時退院で家に戻った時に、階段を普通に上れないというのをよく聞きます。リハビリなどやっていてもそうなる患者さんもいるぐらい筋力は低下します。

さいごに

 1つだけ追加で、患者自身としての原因にするか環境としての原因にするか迷い外してしまいましたが、病院食しか食べられない環境にいることも原因になります。

 お酒ダメ、刺身ダメ、脂の多い肉はダメなど言われると、余計に食べたくなってしまう。心理学でいうカリギュラ効果でもあります。

 好きなものを食べられないと考えればストレスも感じますし、他のものを食べたいと思ってしまします。他のものを食べたいという心境で病院食を食べても、おいしいとは思わず、まずい判定になりがちです。

・さいごに

 病院食がまずいという原因はいろいろと見つかるのですが、対策は限られてしまうのが現状です。それでも、病院食というのは患者さんにとって適正な栄養バランスで提供されるものですので、できる限りの対策をとって完食できるようにして、完食することをルーティンにしていただけたらと思います。

 病院食なら痩せるというのも、都合の良いことばかりではありません。本人の意思、努力・行動がなければやつれていくだけです。しかし、逆に言えば入院中にできる限りの努力をすれば、ある程度の筋力は維持できますし、シェイプアップ、その気になればバルクアップも可能です。(プロテインなどは必要ですが)

 まずい病院食という認識を無くして、おいしく食べて健康増進・病状回復に繋げていただけたらと思います。

下のリンクは筋トレをする患者さんに向けて、病院でも管理しやすいプロテインバーなどを紹介しているnoteの記事です。

入院中の筋力低下の対策に筋トレ! おすすめプロテインバーとプロテイン

https://note.com/onemaster/n/nbc78fc09ef7b

↑たんぱく質の摂取量なども解説しています。

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